校長通信
ゆくて遥かに
校長通信

2023年9月8日

第265号 合唱コンクール開催

 9月6日(水)、第76回合唱コンクールが開催されました。今年の合唱コンクールは昨年までの大会と異なり、大きく心配されたのが「暑さ」です。前日午後、体育館に入ってみると、まとわりつくような湿気と暑さ。WBGT指数も28を超えてきていて、ここに全クラスが3時間以上滞在したら、どうなってしまうのか…。加えて、今年は体育館の塗装の補修工事を行っている関係で、防音シートが四方とも覆っており、風通しもあまりよくはないので、換気は大丈夫なのか、CO濃度の計測器の数値も気になる状況。熱中症に感染症に、安全管理のため頭を痛める前日でした。今から昨年のような各教室へのクラス配信の準備は難しいし、当日幾分涼しくなるという天気予報にかけるしかない、そんな状況でしたので、今年も昨年に続き、保護者の方にはライブでご覧いただくことができず、本当に申し訳ございませんでした。

 当日午前中、臭いも心配だったので塗装工事も早々と中止していただき、気温とWBGT指数計を30分ごとにジリジリしながら見ていました。開場30分前、WBGT指数が26台で頭打ちとなってきましたので、なんとか予定通りできそう。良い顔をした生徒の皆さんが続々と会場に入ってきます。合唱コンクール委員会の皆さんのファシリテートにより無事演奏開始となりました。ところが、今度は間断的な大雨。開場の涼しさは維持されましたが、屋根に打ち付ける雨の音、一生懸命練習をしてきた皆さんが切ない思いをしないよう、脳の中から雨の音を除外しながら、公平になるよう必死に審査をしました。全部の演奏が終わったのちの審査委員会も、合唱コンクール委員長のテキパキとした指示に基づき粛々とデータをもとにして進められ、審査結果をあまり知らないまま、タイムマネジメントに従って全体講評を行い、表彰、終演となりました。どうやら熱中症と、感染症の広まりは避けることができたようでしたが、どっと疲れました。

開会式 挨拶をしているのが合唱コンクール委員長の佐藤凛太郎さん(3-4)。きびきびと会を運営していただきました。
開会式でずっと前に座っていた上に、空気がまだまだ緩んでいて、ただでさえ演奏しにくい環境下のトップバッターで歌った1年8組。緊張とか萎縮とか起こりがちで心配していたのに、臆せず堂々と明るく歌い切ってコンクールのモードを作り出した演奏に拍手。

 全体講評として申し上げたことを少しまとめます。Jポップの演奏団体は、やはり細かい音符と符点の連続の中に、伝わるように言葉をしゃべっていくのが難しかったところが多かったようです。加えて、ビート感がないと、重たい感じがしてしまいます。全体としては相手に言葉や共感が伝わるように、言葉の抑揚とフレーズの流れを意識して曲作りをしていただくことが大切だと感じました。しかしながらとてもピュアで心洗われる演奏が続きました。1年生は堂々としており、表現豊かな演奏が続いて感心しました。いくつか入賞団体が出るのでは?と思っていましたが、この調子で来年以降頑張ってほしいと思います。2年生はその成長を感じました。昨年やや消極的だったり、一本調子だった演奏が見られていましたが、今年はクラスの主張が明確で、はっきり個性も感じました。3年生はとにかく大人でした。曲の変化などの構成をしっかり意識し、歌詞に共感しながら歌っている様子も伝わってきました。どのクラスも指揮者を中心に曲の解釈を丁寧に共有化し工夫していたこともわかりました。選曲がクラスにあっていたかどうかとか、審査員の好みとか、ちょっとした差だったと思うので、入賞できなかったクラスも、どうぞ、がっかりしないでください。個人的には深志高校で合唱コンクールの審査ができる幸せをかみしめています。

最優秀の3年5組の演奏風景  楽譜を丁寧に読み解こうとした姿勢が伝わりました。その結果、まさに希望に満ちたさわやかな風が会場に吹き抜けました。

 最後に最優秀賞を受賞した3年5組の指揮者:下川泰弥さん、ピアニスト:宮本円香さんにお話をうかがいました。3年5組では合唱コンクール委員と担任の先生から推薦していただいた6曲ほどの中から、音源を聞いて選曲をしたそうです。音取りは夏休み前に済ませたそうですが、全体合わせは10日ほど、朝始業前、昼休み、放課後と集中的な練習を行ったとのこと。去年銀賞だったので、今年こそはとの思いと、男子がやる気で頑張ってくれたことが成果の要因だったのではないかと話してくれました。アーティキュレーションの部分で楽譜に忠実な、細かい表現の徹底が見られたクラスだったと記憶していますが、やはり、指揮者、ピアニスト、そして合唱コンクール委員の宮ノ尾俊介さんから、細かい表現の徹底が指示されたそうです。さらには歌詞の解釈について、合唱コンクール委員を中心にクラス全体で共有化が図られたこともお話しいただきました。合唱コンクールにかけたクラスの熱い思いが伝わってきました。

右が指揮の下川さん、左がピアノの宮本さん