校長通信
ゆくて遥かに
校長通信

2023年4月26日

第248号 世界に羽ばたく仲間たち

 今年度の国際数学オリンピック日本代表メンバーとして、1年4組の狩野慧志さんが出場します。国際数学オリンピック日本代表選考には、全国の高校生までの年代の皆さん約7000人程度が参加し、予選と本選及び、3月に行われる代表選考のための合宿を経て、6人のメンバーが決定します。狩野さんは小学生のころから日本ジュニア数学オリンピックに挑戦し、中学に進学後は日本数学オリンピックに挑戦してきました。筑摩野中学2年生の時には最終合宿までコマを進め、3年生で挑戦した国内大会ではついに最終合宿も突破して、今回代表の座をつかむことができました。小さい頃の幼児用教材から始まり、小二からは数学検定にもチャレンジし、数学と遊んだり、常に身近なものとして楽しむ生活を送ってきた様子です。また、難しい問題にチャレンジする時は、数十分考えても解けない場合は、解答のヒントとなるものに当たった上で再度思考を行うようにしているとのことです。今年の国際数学オリンピックは20年ぶりの日本開催で、7月7日から12日にかけて千葉市において実施されますので、かなり話題になるのではないかとも思われます。参加にあたり、狩野さんは銀メダル獲得を目標として掲げることに加え、団体戦ではチームの仲間に迷惑をかけないよう、全力を尽くして頑張りたいとおっしゃっていました。狩野さんの活躍を祈念申し上げたいと思います。

 昨年度、長野県教育委員会の企画により、高校生を海外に派遣する「信州つばさプロジェクト」が12月から3月にかけて実施されました。この企画では、①サスティナビリティー探究コース(オランダ・スイス)、②個人留学支援コース(本人が行き先を選択)、③グローバル・インターンシップコース(マレーシア)、④SDGs探究コース(カンボジア)の4つのコースが設定され、全県の高校生に募集がかけられました。応募の際には、応募の目的、現在自分が設定するテーマに沿った課題等を記述したものを提出するのですが、各コースには県内各校より相当の人数が応募した中から、各コースとも数名が選抜され派遣されたとのことです。本校からも各コースに応募者があり、次の皆さんがプロジェクトに参加して参りました。(学年は現在もの)

① サスティナビリティー探究(オランダ・スイス) 3年5組 東本遥大 さん

② 個人留学支援(ケニア) 2年6組 大池萌愛 さん

③ グローバル・インターンシップ(マレーシア) 3年1組 宮田しいな さん

④ SDGs探究(カンボジア) 2年6組 中村のどか さん

 4名の方々に、プロジェクトに参加しての感想をインタヴューしました。みんな熱く語ってくれたのですが、紙面に載せきれず、ゴメンナサイ。

①東本さん。オランダ、スイスの人々は、地域の文化、自然環境や国土の成り立ちはもちろん、居住地域の歴史、ヨーロッパにおける地政学的な位置、周辺諸国との関係などに大きく影響されながら、一人一人の暮らしが存在していることを感じた。そういった意味で自分はこれまで歴史的な背景の捉えが、とても甘かった。歴史と地理と文化の関連性、環境保全・平和構築とのつながりを身をもって感じることができました。

②大池さん。高校入学前から環境問題に関心があったが、そうしたことを一切白紙にして、自分に対して何もフィルターをかけずに訪問しました。まずはサバンナの大自然に圧倒。シマウマが何千頭も群れを成していて、庭の垣根の先をバッファローが駆け抜けていく。本でしか読んだことのない世界が想像しないスケールで存在していました。そして、貧困。環境課題も大きいけれど、貧困の実態を生活の中で触れたという感じです。今後の自分の思考方法が変わっていくのではないかと感じました。

③宮田さん。人々が温かい、明るい、フレンドリー、とにかくグイグイと来た。多民族で食べるものがみんな違う、ハラルだとかベジタリアンとか、一人一人の多様性にきちんと対応している世界がそこにはありました。スマホの中の世界は偏見だらけのようにさえ感じた。とにかく見ることの大切さ、行って、見て、感じないと自分の世界は広がりません。

④中村さん。初めての海外、気候、食事など不安だったが、挑戦してみたら何でもいける。英語の表現は得意ではなかったけれど、カンボジアの人たちが助けてくれて、身振り手振りで、時にはスマホで日本語に翻訳もしてくれた。貧しい家庭出身の子供たちを集めた学校で、一緒に探究活動をしたけれど、彼らのコミュ力に拍手。カンボジアの人々は前進しようとする意欲がある。様々な困難があるけれど、昔のことよりも今を見て、生き抜こうとする力を感じました。