2025年9月6日
2025パンフレット連動企画【対談】校長先生×生徒会副会長
学校案内パンフレットとの連動企画として、パンフレットには載せきれなかった対談の全文を公開します。これからの学校をつくっていくお二人の貴重な対談をお楽しみください。パンフレットには掲載されていないブログ オリジナル部分は「ブログオリジナル部分」から始まります。

パンフレット掲載部分
――校長先生が赴任して1年目、水城さんが入学して2年目ですが、深志高校をどう感じてい ますか。
水城:この学校には自治があって、生徒の裁量が大きいことを、副会長になった時により強く 実感しました。直近だと、落雷や猛暑などの悪天候時にとんぼ祭を安全に行うためにどうする かを考えなければいけない時があって、生徒で検討し、定め、それを承認するというプロセス を踏んだことが僕には衝撃的でした。中学校で行ってきた活動とは異なり、自分たちが活動す る枠そのものについて考えることが、熱中症対策などの細かなところに限らず本当に多くなり ました。だからこそ、裁量の大きさという面に関しては驚きが大きかったです。
校長:職員に枠を決められて、この中では自由にやっていいけど他はダメという生徒会運営は すごく多いと思う。でも4月に着任して思ったのは、やっぱり深志にはそこの壁がなくて、一緒 に考えようとする姿勢があるかなと思います。私も40年前この学校の生徒だったので、当時を 思い出してみても、もちろん部分部分でマイナーチェンジはしてるんだけど、大きな方針とい うものに変化はないのかな。それは、伝統であるとか、継承されていくものなんだろうね。
水城:枠自体を定めていく作業は、当然、その中で何かをすることよりも大きな責任を伴いま す。例えば今回のとんぼ祭の熱中症対策で言えば、企画の中身を実現できるかよりも、来場者 の安全とか、円滑にとんぼ祭を行えるかといった根幹の部分に関わってきます。だからこそ、 生徒が裁量を持つとは言ったんですけど、先生たちはいつもそばにいてくれています。普段の 話し合いの際は静かに見守ってくれていますが、必要な時にはちゃんと現実的な視点からアド バイスを下さいます。その上で、それを踏まえて活動をしていくと、僕らの思いを受け入れな がらも、危ない時には危ないと言ってくれて。僕らの中に先生への信頼が生まれていきます。 先生の方にも「この子たちは言えば聞いてくれる」という信頼が生まれると思うんです。そう いうお互いの信頼関係みたいなものが、深志の類いまれな、生徒に与えられた裁量権の大きさ につながっているのかなというのは、生徒会に関わったからこそ感じられました。
校長:信頼関係。それはあると思います。皆さんもやっぱり、先生たちがある程度生徒を信頼 しているとは感じるかな。今は、頼るでもなく、放任するでもない、絶妙な、ある意味いいバ ランスの上にいると思います。どちらかが強くなってしまうと、ほったらかしか言いなりにな ってしまう。そうは言っても学校だから、ある程度大人が話をすることが必要な場面もあると 思いますが。
――信頼関係の揺らぎが起きづらいようにして、生徒・先生間のより良い関係を築いていくた めには、それぞれどんなことが必要だと思いますか。
校長:平林六弥校長先生の言葉に「伝統を継承するとは、徒らに旧きを固守することではない。 時の流れとともに、改めるべきは勇敢に改めていくのでなければならない。変革を恐れる悪しき伝統主義は停滞を意味し…」とあります。今の言葉だとアップデートかな。伝統を継承することはすごく大事だし、継承してほしいと思うけど、時代に合わせてスクラップアンドビルドすることも自治だと思います。いいものは継承し、改善すべきものはみんなでしっかり協議していく。その過程で、混乱は必ずあります。そういう時にいかに対応するのかが大事で、どう乗り越えていくかというのは自治の力だと思います。そこで「誰かにこう言われたからこうしよう」ってなっちゃったら、それは自治ではないと思うから。いかにして自治の伝統を守って、支援していくか、日々悩んでいます。ちょっと難しい話だけど、どう思う?
水城:先生方が自治を守りたいと思ってくださりながらも、アップデートをしていかなきゃい かんという時に、自治は信頼関係のもとにあるのにも関わらず、悪しき伝統主義のようなもの に固執するままだったら、それは先生方が出て来ざるを得ないじゃないですか。見るべき現実 に対して目を背けたままで、「いやそれ自治の破壊じゃん」みたいに言うのは、信頼関係や、これまでの自治に対する無責任だと僕は思うんです。一方的に押し付けられてはいけないけど、押し付けられないということは、そういった問題提起は僕たちの手でしなければならないんですよね。生徒側の議論というのはもっと活発化させていかないと、好ましくない状況をつくってしまうかもしれないので、頑張らなきゃ、と思います。
ブログオリジナル部分
――校長先生が4月からこれまで過ごしてて、どんなふうに見えましたか。
校長:どんな学校、生徒なのかなといろんな想像をしながらきて、学校の中を歩いてみたり、 授業中ちょっと顔を出してみたり、文化祭を見たりする中で、いい意味で自分の個性を大事に してる人が多い、自分の得意なところや伸ばしたいところといったものを、自分がこうなりた いという思いを持って、伸ばそうとしている、頑張っている人たちが多いのかなという気がす る。だから、先生たちや誰かに言われたからじゃなくて、自分はこうしたいから、ここを頑張 るんだという、そういうのはすごく感じます。先ほどの話にもあったけど、特に文化祭を見て いて、みんながすごく一生懸命、自分のやりたいことを探究していることがすごく伝わってき て嬉しかった。すごく頼もしいと思うし、日々嬉しく感じています。だから、もっともっと自 分の得意としているところを磨いて欲しいなって感じています。
――水城くんは先生のおっしゃるような雰囲気を日々過ごしていて感じていますか。
水城:個性という面でいうと、課外などの時間においては、ほんとに生活様式が多様というか、 いろんなことをやってる人がいるなというのを感じるんですよ。僕は生徒会一筋でやってきてすごい充実しています。でも、ひとたび生徒会を見回してみれば、それぞれの部活に入って生 徒会と部活で二足の草鞋でどっちも両立させているすごい「猛者」たちがいます。さらに、部活一本で、自分の高い目標に向かって頑張る人たちもいるし、部活とかには入ってないけど、自分のやりたいことを見つけて、仲間を募ってやってる人たちもいる。けれどこの学校では、誰しもが人と違う生き方、学校生活を送ってて、自分で自分の生活は変えられると思ってるし、その ”自信” みたいものが、個性を大事にしてるっていうところにつながっているのかと思ったので、校長先生が同じ認識をされていたというのは僕はすごく嬉しかったです。
校長:みんな違ってみんないいって歌知ってる?今の時代はみんな違ってみんないい。みんな 違うのをお互いが尊重する。そして、みんなで幸せになろうという、そういう雰囲気があるの かなという気がする。ちょっとなんか変わってることをやろうとする人を揶揄しないような雰 囲気が嬉しい。
――そういった「あたたかい雰囲気」と「自治」にはどんな繋がりがありますか。
校長:自治の裏には自由があると思うんだよね。自由であるからこそ、自治が成り立つ。自治 が根付いているからこそ、自由に活動できる。みんな違ってみんないいがある。その二つは両 輪なんだよね。
水城:この学校にこういう風土がなくて、みんなが個性を大切にしない雰囲気になっていたら、 誰かに言われたことをしてた方が楽だと思うんですよね。自分でしたいことを選べるというのは、責任を伴うので、それはすごく大変なことなんです。だから、この自治というものはすごく珍しいことだと思うんですよ。この「学校」という枠内で、生徒が、自分で、自分たちの生 徒会でも部活でも、責任を持って、先生たちと協力しながら物事を推し進めていくということ はすごく難しいことなんですよ。でも、それをつくづく実感した上で、この自治というものを受け継いでやってきたというのは、校長先生が先ほどおっしゃったような、個性を大事にする だとか、画一されたこうあるべきだみたいなものがない、それを良しとしない、深志生の気風 (きっぷ)っていうのがあるんじゃないかなと僕は思っています。
校長:気風っていい言葉だね。自治には責任が伴うんだよね。そこは生徒の皆さんもわかって るとは思うんだけど、そういう勉強をするということも大事。
――自治とは何なのか。その自治を守っていく、活かしていく学校にお二人がどんなふうにし たいか教えてください。
水城:自治と似た言葉に、独立という言葉があります。深志生たちが独立しているかというとこ れは狭義の意味での独立ではないんですよ。例えば生徒会にしても、部活にしても、出ている お金は(保護者の方々に出していただいているので)僕たちの稼いだお金では当然ないし、責 任を最終的に取ってくれるのも先生方です。そう言った意味で、独立してないのに自治が成り 立ってるってことがすごく不思議なところだなと思って。じゃあ全部自分たちでやろうって言 って、抑圧だなんだって言って、みたいなのは安直じゃないですか。僕たちの立場的にも、ま だ先生方に頼らなきゃいけないって時に、築いた選択肢こそが自治だと思うんです。まず先生 たちからの信頼を勝ち取って、ある程度は任せてくれる。何かいきすぎたこと、ちょっとまず いなってことがあったら、先生たちはアドバイスしてくれる。それを僕たちは受け入れる。お 互いに対する「信頼」が、真に自分たちが独立していなくても、自治としてやっていける要因 じゃないかと思うんです。信頼というものが自治のすごく大事なキーになってきているんじゃ ないかと思っています。
校長:自治とは何かというのはすごく難しい。長野県の県立高校全てが示している、三つの方針 とグランドデザイン(詳しくは本校HPの ”教育方針” ページをご覧ください)にある生徒育 成方針、こういう生徒になってほしいというものには「本校では『高いレベルでの様々な学び』 を通じて、『自治の校風』を追究しその理想を具現化すること により、他者と協働してよりよ い社会を創造し支えることができる、力強く骨太な人材育成をめざします」と書かれています。「自治の校風を『追究』」です。自治の校風はこうだとは言っていない。常に追究し続けるんだよ、自治とは何かって問いなさいということじゃないかな。常に自ら自治とは何か問い続け ることで、お互い協力しながらよりよい社会を作っていこう、みんなで幸せになろう。そういう中心になるような人物になってほしい、それが、深志高校の「力強く骨太な人材育成」です。自治とは何かという問いだったけど、明確な答えはないよね。だけどうんと噛み砕いて分かり やすく言うなら、私にとっては、「一つ一つのことについて、まず自分で考えなさい」なんです。勉強でもまず自分で考えてなきゃ力はつかないはず。自分で考えて自分の結論を出してい くことの積み重ねも自治かなと思います。自分なりにたくさん考えて結論を出しながら成長す る中で人間は独立していくと思うんだよね。だから独立することは間違ってないと思う。なん だと思う?自治って。深志高校は一つの国なのかもしれないね。自分たちの国を自分たちで治 めるわけじゃないですか。それが自治なんじゃないの?だから深志高校には校則はないです。 髪の毛を染めてたら、多分ダメって言うところが多いよね。それに深志には、スマホの使用の 制限もないし、体育ジャージもない。指定のジャージがない理由を考えると、体育の服装は何 が適切なのか自分で考えようというメッセージだと思う。服装は自由だし、体育用ジャージが ないのは自然だと思う。
水城:全部そうかもしれないんですけど、不思議だなーって思うことがあっても不思議だなーで 終わりで、そのまま受け入れてる自分がいました。「自分で考えなさい」以外にもあるかもし れないんですけど、込められたメッセージに考えを浮かばせたことはなかったです。
校長:なんらかのメッセージがあると思うけど、でもそれが何かは、私もはっきりは言えない かもしれない。卒業して39年ぶりに来ると、不思議に思うことがいっぱいある。でも高校の時 に考えてもなかったことを考えるのは楽しい。
水城:伝統とも絡めると、それを考えないで積み重ねていくと、結局それは悪しき伝統と呼ば れることになるわけじゃないですか。
校長:時代に合ったものにアップデートできないのであれば、なりかねないことはあると思う。 そういう危険性はあるかもしれないね。
水城:自分が与えられた環境に積み上げられたものに対して、それは当たり前だと思わずに、 考える姿勢というのは、アップデートしていくためにも、守っていくためにも絶対必要だなっ て感じました。
校長:そういうふうに生活してきたことが、多分皆さんが、大学に進学して、社会に出た時に 絶対役立つと思う。
――中途半端に自分のやりたいことをやろうとしてる人に対して、否定する人はいるけど、一 方で、覚悟を持って頑張っている人を応援する、そういう光景も見られますよね。それについ てはどうお考えですか。
水城:態度とかそのやり方に対する批判はもちろんあります。僕も(そういったことを)言わ れたことはありますけど、その理念とか、目指す方向自体の否定をされたってことは、一度も ないです。他の人を受け入れることができるのは、深志のいいところだと思います。
――生徒同士の日々の協力の様子についてどう感じていますか。
校長:日々の協力の様子は申し訳ないけど自分があまり見えてないところかもしれないね。で も職員会で聞く文化祭の進捗状況の報告や結果を見て、お互いが協力し合わないとできないも のばかりだなということは感じます。舞台装置もそうだし、大体育館の放送設備もそうだし、 イベントとその進行もそうだけど、全部1人2人ではできない。出来上がったものを見れば、 どれだけの人が協力したんだろうというのは感じます。
――大きなイベントが二つ同時に起こっていたりと規模感の大きさに驚かせられます。
校長:講堂、大体、小体、教育会館、2つどころか同時に4つ行っている。これだけのことを 模擬店をやりながら同時に行う文化祭は素晴らしい。生徒の皆さんの協力を感じます。
――たくさんの方が文化祭に訪れてくださいました。
校長:5238人の方に訪れていただきました。去年5000人ほどだったので、200人くらい増えまし た。生徒会長の伊東さんが、受付でスリッパが無くなっちゃった時に「想定してなかった」と 言って急遽倉庫からスリッパを出してきた。近隣の学校と一週ずれることは知っていたけれど 想定を超えたから、やっぱり地域の人がすごい関心を持って来ていただいていると思います。 本当にありがたい限りです。
――それを運営する立場の人は責任が重大で大変ですよね。
水城:でもとんぼ祭というところで言うと、普段はやっぱり深志生としての活動はすごく少な いと思うんです。どの活動においてもそれぞれの所属団体としての活動が主だとは思うんです けど、とんぼ祭っていうものは深志生としての活動がすごく出てくる場だなと思ったんです。 僕にとって印象的な話だと、会場づくりのために机を移動させると言うのをやっていたのです が、何百個という机を一箇所に集めてそれを片付けるんですよ。僕が別の仕事のために最初通 りかかった時は、数人でその何百個を少しずつ減らしていました。そのあと用があってその教室のところに戻ってきたら、そこの前に長蛇の列ができていて、それは生徒会本部の人達だけ じゃなくて、他の部活や片付け終わった人達が続々とやってきて、深志生としてできる事をや ろうということで、ものすごい勢いでそこの机が戻っていたんですよ。それを見て、やっぱり 普段は見えづらいけど、深志生すごいなというのをすごく感じました。
校長:なるほどね。そういったことがあったんですね。
水城:いざこう、深志として、これをやろうってなった時の、見せてくれる団結力みたいなも のが、普段のこの個の個性とか多様さとはすごく対照的で、僕はびっくりして。それもやっぱ り魅力の一つだと思いますね。陳腐な言葉ですけど、「一人になれる、一つになれる」みたい なこの両方もできるのも深志のいいところだなと思います。
校長:自分で考えて自分で動けてるってことだからね。自分で考えて動くことがやっぱり自治の ベースですよね。机、どうなったの。
水城:2棟4階の端の教室に全部、どうしてその教室なんだろうと思っていたんですけど、2 棟3階とかは展示があるので、一番邪魔にならない最上階の端っこの教室に集めたんだと思い ます。
校長:そこにあったんだ。渡り廊下の両側に集まってたりする学校もあるけど見当たらないか ら机はどこに行っちゃったんだろうと思っていたんだよね。
――どうやって積んだんだろうってくらい積み上がってましたよね。展示もそうですけど、突 き詰めるみたいな話につながってきませんか。
水城:4階に運ぶというのも深志生のこだわりを感じてて、廊下にちょっとずつ並べておけば 楽じゃないですか、それで道が塞がることもないし。だけど、そんな一般のお客さんが来ると ころには見せたくない。だから大変だけど、大変だからこそ邪魔にならない場所に運んで、み んなでやった。それがすごく深志生の、自分で考えられる、自分で考えて一つになれる。さら に突き詰めるという場面を象徴しているようで、その姿が僕はすごく嬉しかったんですよね。
校長:先生が考えると、廊下に置くかもね。運ぶと壊したり、怪我したりするから。安全面を考える。でも、深志の「うちの生徒は大丈夫だから、任せる」と言う先生との信頼関係だよね。こだわってこだわって、それを具現化する。しっかり自分の理想を具現化して、こだわったことを形にできる。大事なことだよね。そういったことが出来るということも深志のいいところかなと思います。
――最後に、水城くんが今までこの学校で育ってきてどんなふうに感じていてどんなふうにな っていきたいかと、どんな学校にしたいかの二つと、校長先生として、生徒個人にどんなふうに成長していってもらいたいか、またどんな学校になってほしいかという二つ、それぞれお聞 きしてもいいですか。
水城:今日お話していても、これまであった学校生活を考えても、僕たちの裁量、自分たちの好きなことをやらせてもらっている。自分たちの好きなことをやらせてもらって、とんぼ祭でも部活でも生徒会でもとことんこだわっているからこそ、この学校の生活ってこんな楽しいんだなというのを感じてるんです。だからこそ、この任かせてもらっている、信頼されているっていう感覚をもっと持たなきゃいけないし、この任せられているだとか、さっきの体育ジャージのような自分で考えようというメッセージに気づけなくなったら、それはもう終わりだと思うんです。考えようというメッセージを受けて考えずに、たとえば体育のときにジーンズだとかの適さないものを着ることが当たり前になったら、それはもう体育ジャージを定めざるを得ないかもしれないじゃないですか。だからこそ、信頼されているということを自覚して、その上で、信頼を壊さないようにしなきゃいけないというか、さっきの(机を集めた)話にしても、 あれは無事故で終わったから良い話になったわけですけど、あれで生徒会本部補佐員(机を主 になって運んでいたメンバー達)が怪我をしたりしていたら、これは管理が行き届いてなかっ たみたいな話に一気に変わってしまうわけじゃないですか。だから、裁量をもらってる、好き なことをやらせてもらっている、こだわれるっていう環境を守るために、自分の周りにあるす べてのことに対して、疑って、考えて、それを共有していくということを、僕は一人の深志生 としてやりたいし、みんなとも一緒にやっていけたらなと思っています。
校長:なるほどね。ありがとうございます。クリティカルシンキング、批判的思考って聞いた ことある?何かを頭からすべて批判するんじゃなくて、批判的思考っていう、一回そういう目 で物事を見てみようという、疑ってかかるじゃないけど、そういう思考をするっていうことは これからの時代に生きていく上ですごく大切だと思うんだよね。たとえば生成AIの回答が必 ず正しいわけではない。AIの回答をそのまま出したら、それはとても無責任。生成AIはあ くまで補佐だから。Microsoft Copilotの名前にもあるように、Pilot (操縦士)ではなくCopi lot(副操縦士)だから。生成AIの回答を、個人情報や著作権について自分で精査して、正し いかどうか自分でしっかり検証して、それで自分のものとして出すべきだよね。自分が出した ものは自分の責任だから。これからみんな生成AIを使う時代になると思う。危険性をしっか りと理解した上で使って、出た結論を自分が出す時はあくまで自分の責任なんだよね。生成A Iがこう言ったってのは理由にならない。批判的思考を大事にしながら、成長してほしいと思 います。そういうのって、自治がベースにあると思う。批判的に物事を考えることができるこ とも自治だと思う。なんかまとまらない話になっちゃったんだけど、骨太なたくましい人間に 育ってほしいと思う。強い心を持って未来を創造できるような、自分だけでなくて、周りの人 も一緒に幸せになれる空間をプロデュースできるような、そういう人に育ってほしいと思って る。それは自治や批判的な思考、高校時代の生徒会を中心としたみんなで協働して何かを成し 遂げた経験、それが生きてくると思う。今日はみんなの話が聞けてよかった。