校長通信
ゆくて遥かに
校長通信

2023年5月26日

第251号 教育実習に思う

 今年度も今週から教育実習が始まりました。今年は8名の皆さんが、深志高校での教育実習を行っています。大学生といえども、教育実習期間中は「先生」と呼ばれる存在です。その意味と責任をとらえながら、8名の皆さんは日々奮闘中です。最近は教員不足や採用試験の志願者の減少などという言葉がネットニュースなどで頻繁に見られるようになってきました。その背景として、教員のおかれている労働環境の厳しさも指摘されています。このことは社会的な課題として、それぞれがそれぞれの立場で(私も含め)解決に向けて努力すべきことであるということは承知しています。

 一方で、教員生活35年余を経た今、忙しかったけれど、本当に自分を活かして(生かして)いただいた仕事であったと、教職に就けたことを感謝する自分がいます。そして、教育実習を行ったあの日々を今でもありありと思い返すことができます。モラトリアムな発想で、好きな学問分野と合唱にのめり込む大学生活を送っていた自分にとって、教職課程の単位を取得することは、やはり周りの友人たちに流されてのこと、モラトリアムの一部でした。しかし、教育実習をさせていただいた大学周辺の中学校(理由は忘れましたが母校でできなかった)での3週間は、毎日が緊張と焦りと感激の連続で、濃密な日々、鮮明な湧きたつ青春の記憶として自分の脳裏に残っています。学校中の先生が見に来て足が震えた研究授業とか、他教科の授業で生徒が能動的に学習活動をする姿を見て感動したこととか、途中で行われた吹奏楽部の演奏会で指揮させてもらったこととか(社会科の指導教官には練習の後にご指導いただきました。すみませんでした。)、一日が終わった後の深夜のファミレスで実習生の仲間と語り合ったこととか(睡眠時間は少なかった)、あの3週間がモラトリアム人間の今後の方向性を決定づけたように感じています。そして卒業生でもない自分にそんな経験を与えてくれた、中学校の先生方や生徒の皆さんには本当に感謝しています。ぜひとも、多くの大学生の皆さん(将来の大学生も)には教育実習を体験してほしい、そして教職をぜひ将来の選択肢の一つとしていただければ…、そんな願いを持っています。

実習生の輕部先生の化学基礎(5月26日)
実験をまじえながらの展開です

 さて、教育実習生の皆さんは、最初の一週間が終了しました。すでに多くの皆さんには実際に授業も行っていただいています。何人かに話をうかがったところ、次のような回答が返ってきました。

「高校時代の担任の先生が楽しそうに授業をやっていて、実際おもしろかったので、担任の先生のような先生になりたいと思っています。」「教室にいることが好きでした。」「高校時代から教員を目指すようになっていました。はっきりとした理由はわかりません。何となくです。」「部活の顧問の先生を尊敬していました。」「(現在担当している教科が)苦手科目でした。できるようになりたいと思っているうちに、いつのまにかその教科を生徒に教えて、できるようにしてあげたいと思うようになりました。」いろいろな人が集まっていて、話しを聞いていておもしろかったです。

ご回答いただいた5名の皆さん。(和田先生、小澤先生、白橋先生、丸山先生、菅沼先生)3名の方は授業中または、打ち合わせ中でした。すみません。

この期間の経験は一生の中でかけがえのないものになると思います。実習生の皆さんには、ぜひともこの間に自分を成長させていただきたいと願っています。また、生徒たちにも進路やキャリアのヒントとなるようなものをお伝えいただければ幸いです。