校長通信
ゆくて遥かに
校長通信

2022年5月30日

第204号 深志の部活動について

 以前にもこの通信に記載しましたが、本校の合同協議会に所属する部活動は運動協議会が18団体、学芸協議会は37団体に及んでいます(生徒手帳による)。すなわち50団体を超える部活動(クラブ活動)が存在しているということになるわけです。県内同規模他校を見てみると、40団体前後であり、本校は部活動の団体数が県内で最も多い学校であるといえるでしょう。

 部活動については、全県の流れとして、少子化・生徒数の減少に対応するため、また教員の働き方改革に向けて、各校で整理統合していくことが提案されています。本校でも確かに人数の減少している部活もありますが、運動協議会はもちろんのこと、学芸協議会もそのあり方や活動状況を見る限り、持続可能性の高いものであり校内での整理統合が難しいようにも感じています。

【運動協議会】

 運動協議会18団体のうち、12団体が中信総体に臨みました(水泳はこれから)。健闘の末、中信総体で終了した3年生もありますが、部活単位でみると10の団体が県大会に進むこととなりました。また、野球部も春の北信越予選で中信地区予選を突破して県大会に出場し、夏の大会に向けBシードを獲得しました。それぞれの皆さんが頑張っている姿を目にして、私も大いに元気をもらいました。県大会に出場する皆さんは、悔いの残らないよう、どうぞ精一杯のパフォーマンスを発揮してください。応援をしています。中信総体で敗れてしまった皆さんも、ぜひ仲間を応援してください。真剣に、そして前向きに、様々な工夫を自分たちで考えながら練習に取り組み試合に臨んできた皆さんに心より拍手を送りたいと思います。

2020年山岳部による八ヶ岳天狗岳登行
本校山岳部は大正7{1918}年創部とのことですので、今年は創立104年目ということになります。

【学芸協議会】

 吹奏楽部の定期演奏会が6月11日に迫っています。現在本番に向けて、最後の追い込み中とのこと、ご案内は「松本深志高校吹奏楽部」@Fukashi_FPWE でツイッター検索してください。

 さて、文化系クラブは学校規模の大きいところでも20~25団体程度であるケースが多いのですが、深志には37団体が存在しています。そしてそれぞれの団体がとんぼ祭で自分たちの取り組みを発表することを活動の集大成の一つとしています。数が多くなっている背景には、他の学校には存在していないであろう、特定の興味関心を持つ仲間による文化部が存在しており、その中には古くからの伝統を伴うものと、新規に創部されてきたものがあります。香道部、ゴーロア会、心理学研究会、数学研究会、独語研究会、推理SF小説研究会、特撮ヒーロー研究会などがそれに該当するでしょう。さらに他の学校では科学部、社会科学部、軽音楽部等、一つにまとまっていることが多いと思われる部活においても、例えば【科学部】☞化学会、地学会、博物会、物理研究会、【社会科学部】☞哲学研究会、政治経済会、地歴会、鉄道研究会、【軽音楽部】☞アコギ部、軽音楽部、ギター部というように細分化され、より専門性を追究するものとなっていることもクラブ数の増加の要因となっています。こうした部活動のあり方は、自分が興味を感じたこと、好きなことを追究したいという、深志の学びの根源を示しているものだと思うのです。突然ですが、私は大学で歴史地理学のゼミに所属していました。地理だか歴史だかわからないような、あまりなじみのない学問分野ですが、「地域の歴史的変化を地理的側面から分析する」というピンポイントに問題意識を持った少数の仲間の中で議論を交わし、研究活動を行ってきました。だからこそ自分の興味関心の核心に取り組むことができたのだと考えています。深志の部活は、まさにそんな「大学のゼミ」を先取りで行っているようなスタイルであり、同じ興味関心を持つ仲間が集まった、探究的なグループであると言えるでしょう。かつて、現存の部活では補完できない関心事項を数人で学ぶ、いわゆる「自主ゼミ」が深志には存在していたという記憶があります。今、様々な探究活動が始まっている中で、「自主ゼミ」を立ち上げて、自分たちにしかできない学びをすすめたいと考えている生徒諸君がいるならば、個人としてはぜひ応援したいと考えています。

軽音楽部 2020ジャズフェスティバル参加
        県内の多くの軽音はライブハウスでバンド活動を行うスタイルのものが多いのですが、本校の軽音は伝統的にビッグバンド系の演奏活動を得意としてきました。

 さて、本校の文化部において、一つだけ、他校であれば別々のクラブなのに、一緒に活動をしている部活があります。それは、音楽部です。他校では、合唱部、オーケストラ部(室内楽部)は別団体となっています。では、なぜ本校では一つの団体として活動しているのでしょうか。それは、音楽部が弦楽合奏とともに合唱を演奏する宗教曲に取り組んできた伝統があることによります。こうした独自の取り組みを継続しているという点も、本校の特徴の一つなのでしょう。