校長通信
ゆくて遥かに
校長通信

2022年4月23日

第199号 春の歌練が行われました

 コロナ禍のもとでの新入生関係行事も、今年で3年目となります。本校だけのことではありませんが、今年の3年生はコロナ禍以前の学校行事の様子を経験していない世代です。このまま今年もコロナに対応しながら学校行事が行われていくとすると、学校行事は全て新しい様式下で行われた世代へと入れ替わることとなります。

 また3年生は入学したての4月から5月まで学校が休業だったので、4月の学校の様子については2年生になってから追体験したものとなります。従ってそれをもとにして年度当初のどの行事も企画しているわけですので、それを支援する顧問の先生方を含め、相当困難な中で準備しているのだろうと思います。先輩たちから引き継いできた行事も、コロナ禍や社会の価値観の変化により様式は少しずつ変えなければならないかもしれませんが、その根底にある精神については伝えていって欲しいと私は願っています。

 今年度の「春の歌練」も形態を変え、加えて感染症対策や雨天のために当初の日程と練習予定を変更せざるを得ない中で実施されました。密を避け、さらに長時間に及ぶものとならないために、学年を二つに分け、2日間ずつの練習です。限られた時間の中で、歌練を行う意義をいかに1年生に伝えていくか、應援團管理委員会の皆さんにとっては、悩み考えた課題であっただろうと想像します。団長が歌練の最後に、「この歌練を乗り越えたことを、今後の高校生活に活かしてほしい」と述べていましたが、1年生の皆さんは今回の歌練をどのように感じたでしょうか。何人かの1年生にインタヴューしたところ、次のように語ってくれました。

「全ての曲を完全に覚えることができたかというと、確かにそうではないかもしれませんが、やり終えることができたという感じをもっています。」

「先輩方の熱い思いに触れることができました。それに応えようとして、自然と自分自身も全身全霊で取り組んでいました。ただ、歌詞や音程を覚えることについては不十分で終わってしまったかもしれません。」

「應管の雰囲気を知ることができ、深志高校の歌を覚えることができたのは良かった。ただ、應管の先輩たちに注意されたことにしっかり対応できたかというと、そうではなかったかもしれない。」

「春の歌練は深志生なら誰もが経験する“試練”だと聞いて、春休みから準備してきました。厳しくも愛のあるゲキを飛ばされながら、一時間半歌い続けたので、みんなぎこちない歩き方になっていたけれど、みんな達成感にあふれた表情をしていました。これからの高校生活の糧としていきたいと思います。」

「最初は全力で歌うことが恥ずかしくて、小さい声になってしまいましたが、先輩たちの姿から、全力でやることが恥ずかしくないことだということを学びました。」

「應管の先輩たちは思ったより怖かった。でも、事前に言われなくてもだんだん自分たちで考えて動けるようになってきた。終わった時の一体感が楽しかった。」

また應管の顧問で1年生の担任でもある澤柳博文先生は、今回の歌練について次のように話してくれました。

「今年は各クラス2日間の歌練を計画(昨年は各クラス1回1時間のみ)、1~4組は2回とも実施できました。1日目は声も小さく、これからの高校生活大丈夫かなと不安を感じましたが、2日目最後の校歌を大声で歌い切り、短時間で成長した姿に安心しました。これに対し、5~8組は新型コロナと雨の影響で1日目しか実施できず、校歌が歌えるようになっているか心配です。皆さんが卒業する頃は、きっと校歌を全員で歌える世の中になっているでしょう。その時には、みんなで5番まで大きな声で歌えるようになっていてほしいと願っています。」

1~4組の2日目の様子 
一人ひとりが離れた中で、歌を合わせようと頑張っている姿が印象的でした。

 ところで、深志の「応援団」に関する考え方には、他校の多くとは異なる考え方があることはご存知でしょうか。それは、応援団は生徒会の一つの組織であるというのではなく、あらゆる場面で深志生を、そして深志高校自体を応援していくための組織であり、応援者は深志生全員であるという考え方です。言い換えると、深志生全員が、生徒会活動や部活動に携わる皆さん、および一人一人の挑戦を応援する応援団であり、應援團管理委員会はそのファシリテーターとしての役割を担っているということになります。この考え方は、「深志の自治」を支える上での、いわゆる「相互扶助」としての大切な考え方の一つだと私は思っています。生徒手帳の一節を引用したいと思います。

「本校に於いては、生徒会と応援団は従属関係のない、互いに独立した機関である。従ってこれらに属する我々生徒は、各人が生徒会員であると同時に、応援団員であるという二面性を持つことになる。例えば、生徒会が自主的に活動を起こしたとき、それは生徒会活動となり、周りの生徒はそれに協力することにより、応援団的活動を行うことになるのである。こうして我々は、生徒会員と応援団の両面を常に持つものである。(後略)」