校長通信
ゆくて遥かに
校長通信

2021年11月11日

第183号 理科の実験のこと

【理科の実験のこと】

 本校で理科の実験を担当する「湯澤未季枝」先生の1日を追ってみました。

 高校には「実験または実習について、教諭の職務を助ける」とされる先生がいます。工業高校や農業高校では主にその実習を指導し、本校のような普通科を擁する学校では、主に理科の実験を担当する先生が配置されています。

 

理科室で、白衣を着た生徒たちが実験を始めようとしています。

 1時間の実験をするためには、必要な試薬や実験器具を各グループごとに用意しなければならず、実験が終わると、ビーカーなどの器具を洗ったり、片付けをする仕事が待っています。劇物なども扱うため、その管理には細心の注意を払う必要があり、実験を行うための実験(予備実験)を行ってみる必要もあります。教科科目を担当する先生と綿密な打ち合わせも行います。

 教科書や公開されている映像だけではわからない「実際」の「体験」をすることに大きな意味があります。

最初は色の変化を見ながら実験が進められていました。

 例えば「化学」では、3年生の授業で22回の実験が計画されています。今日は、高校ではなかなかできないと言われるpHメーターを用いた滴定実験を観察させていただきました。

 白衣に着替えマスクをした生徒たちが、先生の動画を用いた説明を聞いた後、4人ずつのグループに分かれ実験を進めていきます。塩酸を少しずつ滴下してpHを確認し、その時滴下した塩酸の体積とpHをメモしていきます。

 データは各班ごとに手元のタブレット端末を使ってネット上に入力すると、グラフが出来上がっていきます。ネット上のファイルなので、他の班のグラフをその場で見ることができ、自分たちの班のものと瞬時に比較することもできます。

 どの班も丁寧に実験が行われていきました。授業時間が終わる頃には、全ての班で入力が終わり、およそ似たような形のグラフができていました。

タブレットに数値を入れるとグラフが出来上がっていきます。

 生徒たちは、今日の実験をレポートにまとめて提出することで評価対象になります。3年生が生き生きと実験をしている姿は、見ていて羨ましくもあり、大学などに進学してもきっといい基礎実験を続けていくんだろうな、という思いと、知識だけで理解しているのではなく、実際にやってみて世の中の物質の動きが実体験として体に染み込んでいくんだろうな、と感銘を受けました。

 実験を主導する「湯澤」先生は、次のように言われます。

「実験において、実物を見る・実物に触れること、反応や現象を自分の目で見る「経験」が何よりも大事だと考えています。生徒たちにとって一生に一度の「経験」になるかもしれないと思いながら、教諭の先生方と打ち合わせを重ね、実験計画・準備をしています。

 さまざまな実験を通して、生徒たちと一緒に「わー!」「すごーい!」などと、実体験に基づく感動を共有できる瞬間が何よりもうれしいです。実験という「経験」からさらに生徒たちの興味関心が広がっていくことを願っています。」

教室の前のスクリーンにはそれぞれのグループの実験結果(グラフ)が見られるため、自分の班のものと比べたり、最後に実験結果を皆で共有したりできます。

 これからも失いたくない本校の授業の一端を見た気がしました。「本物に触れる」こと、どの教科でも形は違えども考えていく必要があることだと感じています。

(English version below)

   Ms. Yuzawa Mikie is a special instructor in our school who helps the students experiment in science in the laboratory.

   Before conducting a laboratory lesson she needs to prepare experimental instruments and reagents for each group of students, and once finished she needs to wash them and clear them up.  She sometimes deals carefully with poisonous scientific materials.  She also needs to arrange meetings with other science teachers for the lesson.

   Today I watched the third-year students with a white lab coat and a mask on them do an experiment in chemistry.  After listening to her instruction each group of four started the experiment with pH called titration.  They put their own data on the sheet on the Internet, which enabled them to look at the graphs of the other groups instantly.

   I was very happy and satisfied to see the students carry out the experiment with vivacity like a bird.

   Ms. Yuzawa says, “Nothing is more important than the experience where the students see and feel real things and reactions on their own in the experiment.  This could be their once-in-a-lifetime experience, I always think that way when I prepare the experiments with other teachers.  One of the happiest moments of mine is when the students and I can share the time of thrill and sensation in the experiment I have prepared.  I hope this sort of scientific experiment will inspire the students to have a feeling of curiosity and wonder.”

   I hope that our high school students will grow up by learning something genuine, original and authentic in every subject they study.